2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

西郷さんの犬

上野公園を散歩しながら西郷さんの銅像の写真を撮ってきました。 このあいだ読んだ丸谷才一『人形のBWH』(文春文庫)にある「犬と人間」というエッセイに、この銅像の犬の名前ごぞんじですかとの問いかけがありました。 たしか「ツン」だったでしょうと…

シド・チャリシー讃

ちょいと月並みと思われるかもしれないのが癪だけれど、映画と女優を組み合わせてのわがベスト・スリーとして「カサブランカ」のイングリッド・バーグマン、「東京物語」の原節子、「バンドワゴン」のシド・チャリシーを挙げる。 過日「午前十時の映画祭」で…

くさい仲

京大医学部で解剖学を学び、考古学、人類学、民族学を専攻した金関丈夫(1897〜1983)に『長屋大学』という著作がある。一九八0年に法政大学出版局が発行している。ときどき書店で見かけた本だが、たぶん長屋大学という江戸時代のどこかの藩の家老の伝記な…

快走の朝

ゴールデンウィークを前にしてことしいちばんの快心、快走のジョギングの朝。晴れてほどよい気温、爽やかな空気のもと一時間ほどの走りに汗はない。本郷通りを駒込へ向かい、田端、西日暮里、谷中、そうして三浦坂を下りて根津へ出るというのがいつものコー…

手縫いの足袋

この四月に出た新潮文庫の新刊『私の銀座』を読み、よい機会だと以前に古書市で買っておいた『銀座が好き』にも眼を通した。いずれも「銀座百点」に載ったエッセイを収めていて、後者は一九八九年に求龍堂から刊行されている。 双方合わせると百四十篇ちかく…

「ミッドナイト・イン・パリ」

「アニー・ホール」や「マンハッタン」でニューヨークの映像に魅せられた人だったら、ウディ・アレンのパリと聞いてじっとしていられるはずはないだろう。その期待に応えるかのように「ミッドナイト・イン・パリ」はつぎつぎと重ねられてゆくパリの街角の魅…