2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「ミケランジェロの暗号」

この映画はナチスが支配するウイーンでのユダヤ人画商一族のものがたりで、広義にはホロコーストものなのだが、そこから連想されるイメージとは異なり、画商の家族は、タフで智略に富み、苦難に遭いながらもナチスの軍人を相手に押したり引いたり、隙につけ…

シェルビー・スティールの本〜『白い罪』と『黒い憂鬱』

この四月に刊行されたシェルビー・スティール『白い罪』の訳書を遅ればせながら読みましたので紹介してみます。併せて『黒い憂鬱』の書評も載せました。ただしこちらは既発表で、雑誌「こぺる」一九九五年二月号に掲載されたものです。『白い罪』 アメリカ合…

小説「ゴーストライター」の枝葉末節

映画「ゴーストライター」に促されてロバート・ハリスの同名の原作を読んだ。(熊谷千尋訳、講談社文庫)。すでに原書は二00七年、訳書は二00九年に刊行されている。 わたしが海外ミステリに魅せられたのは、コナン・ドイルでも、アガサ・クリスティーで…

ラグビーワールドカップ2011 NZ大会

九月九日からニュージーランドで開催されているラグビー・ワールドカップ。 十日には秩父宮ラグビー場で日本代表対フランス代表の、そして昨日十六日には赤坂区民会館で日本代表対ニュージーランド代表(オールブラックス)のパブリック・ビューイングが催さ…

ゴーストライター

篠突く雨のなかフェリーが着港して、搭乗していた車がつぎつぎと下船する。なかに一台最後まで下りない車があった。つぎのシーンでは暗鬱な空、荒涼の海が映し出され、海岸に男の死体が打ち上げられている。 ロマン・ポランスキー監督「ゴーストライター」は…

「ハウスメイド」

就職がままならない若い女性のウニ(チョン・ドヨン)が、ある上流階級の家庭にメイドとして勤めはじめる。このえらく豪勢な屋敷にはもう一人昔から働く古参のメイド、ビョンシク(ユン・ヨジョン)がいる。仕えるのは主人フン(イ・ジョンジェ)と、双子を…

世田谷文学館に進路を取れ(其ノ三)

九月五日。まずは前回のクイズの解答についてです。八月二十日の世田谷文学館で行われた「文学とジャズ」コンサートからわたしがセレクトした五つの曲と文学との関わりについて。 A群 (1)Tonight (2)Moon River (3)Memory (4)I Could Have Danced All Night…